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貓頭鳥(The Owls), 2023, 胡立歐・哥亞 Julio Goya

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台湾西部を南北に走る街道「台三線」を軸に、沿線の複数の地域で開かれている「浪漫台三線芸術祭(Romantic Route 3)」。古くからそこに暮らしてきた客家民族に焦点を当て、その文化の伝承と現代的価値の創出を目指す台湾の芸術祭です。この客家の地、という特定の空間に展示する作品を制作する作家として、フリオ ゴヤが招かれました。芸術祭のガイドに説明を求められ、こう語っています。 「この地で客家の人々が共生し、今は絶滅が危ぶまれるフクロウを、木の幹と根を使って表現しました。私は鉄の彫刻家ですが、今回は客家文化への敬意を表すため、客家が大事にしてきたこの土地の自然木のみを使いました。 根の作品はレリーフです。できるだけ素材の形を残すようにしたので、近くで見ると目の大きさが違っていたり、鼻が歪んでいたりします。普段、鉄のほかに木や石を使って制作することもありますが、自然の素材を使用するとき私は、現実を追うのではなく、自然の形を残し、作品を自然に寄せるようにしています。 制作滞在中には客家の人々をはじめとして現地の人々と交流し、私も客家の文化をいろいろ知ることができました。この作品が、ここを訪れる人にとっても、客家文化を考えるきっかけとなれば幸いです。台湾でお会いした皆さんは、お世辞ではなく温かく親切で、協力的でした。ありがとうございました。」 浪漫台三線藝術季 Website Romantic Route 3 is a Taiwanese art festival held in several areas along Route 3, a highway running through western Taiwan. Focusing on the Hakka ethnic group who have lived there since ancient times, this art festival aims to pass on their culture and create contemporary values. Julio Goya was invited to create a site-specific artwork to be exhibited in this land where the Hakka people long lived. Wh

舟物語(Stories of a boat), 2022, Julio Goya

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小豆島は昔、島の花崗岩を本土へ運ぶ海運が盛んでした。過疎高齢化が進んだ今、舟は島のあちこちに放置されています。島の人には日常の風景ですが、アルゼンチンの海から遠い町で育ったフリオ ゴヤの目に舟は特別な存在で、作品の材料として着目しました。 人づてに古舟の持ち主を探す。設置場所を探す。陸路で舟を運び、起立させる。そのすべてに地域の人の手助けが必要で、アーティストと人々との間に協働が生まれます。そしてこの協働が、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)が目指す、過疎の地域おこしの鍵となっています。古舟の提供者は、再利用のお礼にと、船用塗料の調達を申し出てくれ、また別の元船乗りは、自宅に保存していた昔の船道具を、作品の装飾用にと提供してくれました。人生を共に歩んだ「宝物だ」という品々。ゴヤは「世界中探しても手に入らないですよ。こうして大事にとってあるんですね、素晴らしいです」と称賛します。地域にあるものを活かし、地域の人との協働を経て完成した作品は、芸術祭が終わってアーティストが去っても地域の誇りとして残り、島の魅力を世界へ発信し続ける。地域型芸術祭の意義はそこにあります。「瀬戸芸において我々アーティストは、主役ではなく小道具なんですよ」。 作品に触れてもいいの?とためらう人には、「どうぞあがって楽しんでください」とゴヤ。「座ってお弁当でも食べてもらえたら最高ですね」。 誇り高き海の男たちと過ごした日々の記憶を胸に、羽ばたく鳥に姿を変えた舟の物語。 瀬戸内国際芸術祭2022 でお楽しみください。 In the old days, Shodoshima Island had a thriving shipping industry that transported the island's granite to the mainland. In today's depopulated and aging society, boats lie abandoned here and there on the island. Although an everyday scene for islanders, boats have had a special presence in the eyes of Julio Goya, who grew up in a

マズルカ III (Mazurka III), 2021, Julio Goya

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小豆島の岩の海岸を散策中、大きく平らな断面で2枚に割れている石があることに気づいたフリオ ゴヤは、石を持ち帰り、のみを打ち入れて割れを再現する試みを重ねます。「サンドイッチのパンのような1対に割って、何か挟んだら面白いかなと思ったんです」。 石を彫ることはしても、割って使うことは思いつかない。他の彫刻家はフリオ ゴヤの自由な発想にそう驚嘆しました。これまでの鉄の作品にはない新たな作風が見られたフリオ ゴヤの個展「シマからシマへ」。その原点とも言えるのがこの作品です。 While strolling along a rocky shore of Shodoshima island, Julio Goya found a stone that had been split into two pieces with a large flat cross section. "I thought it would be interesting to split a stone into a pair like sandwich bread and sandwich something."   Sculptors carve stone but won't think of splitting stone like he does, said a sculptor praising Goya's free thinking. Viewers of t he exhibition "From an island to an island" found that Goya has developed a new style not found in his previous iron works. You could say it started with this work.

押し込み (OSHIKOMI), 2021, Julio Goya

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    手漕ぎの舟の男たちが運ぶのは重さ約1トンの太鼓台。やがて舟が着岸すると、待ち受けていた男たちが威勢よく太鼓台を陸へ下ろす。指揮をとる男。下ろされた太鼓台は桟敷まで一気に担ぎ「押し込」まれる。沸く観衆たち。 小豆島の祭り「押し込み」の光景で、2019年には招かれてフリオ ゴヤも実際に太鼓台を担ぎました。 島を離れた人もこの日には戻ってくる という伝統行事がコロナ禍で 2年連続中止されたことを受け、「押し込み」を守ってきた地元の人々への敬意を込めて、 舟の出発地である神浦 に レリーフを制作しました。   素材: 鉄, メッキ   The men in the rowing boat carry a drum of about 1 ton. When the boat reaches the shore, the waiting men pull down the drum to the land. A commanding man. The drum is then carried up and "pushed" into the place where crowd waits. Excited spectators. The relief shows scenes of Shodoshima island's traditional festival OSHIKOMI or "Pushing", which Julio Goya was invited to “push” the drum with locals in 2019. Even people who left the island return for this day but the event was canceled for two consecutive years due to Covid 19 .  In honor of the locals who have kept OSHIKOMI, Julio Goya created the relief in Konoura, the departing point of the boat.   Material: Galvanized steel

自然の目「大地から」(Eyes of Nature "From the Earth"), 2021, Julio Goya

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フリオ ゴヤが2019年の瀬戸内国際芸術祭に出展した「自然の目『大地から』」は、海沿いの古民家の庭に育つカイヅカイブキの大木を使って制作したツリーハウス。船をイメージしたこの作品の”舳先(船首)”に、2021年、新たに女神が加わりました。  素材: 鉄、メッキ、塗料、カイヅカイブキ、流木 Julio Goya's Eyes of Nature "From the Earth” (Setouchi Triennale 2019) is a tree house built on large trees (Juniperus chinensis) growing in the backyard of an old house by the sea. In 2021, a goddess was newly added to the "bow" of this work, which Goya created imagining a ship.  Material: Galvanized steel, Paint, Trees, Driftwood